■漢文解読講座

「読まない字」

漢文の中には「読まない字」というのがあります。
これらは一般に助字もしくは「助辞」と呼ばれています。虚字の一種です。
 しかし、これらの字は「読まない」からといって、決して意味がない訳ではありません。意味がないのならそこに書く必要は無いわけですからね。実はこれらの字にも、漢文としてはそれぞれに「読み」があります。本来は他の語に付属して語勢を助けるものですから、この文字単独では使われることは殆どありません。日本語では「こそ」などの意味を強調する場合などにも使われます。場合によっては「助字」としてではなく、意味や音のある字として用いられることもあるので、注意が必要です。以下に代表的な助字を列記しておきます。数が少ないですから全部覚えてしまうのがよいでしょう。

助字

読み

意 味
(イ) 文末の助字。確認・断定を表す。読むことはほとんどない。
(エン) なんぞ」「いずくんぞ」と読んで疑問・反語の意を表す。接続詞として「すなはち」と読む場合もあるので注意。
(オ) 感嘆を表す。また、関係を表す前置詞としても用いられる。
意味は「〜より」「〜に」「〜を」。
(ウ) 上に同じ。
(コ) 文末の助字。疑問・詠嘆などなど。形容詞を強めたりする。「」「」「かな」などと読むこともある。
 下の「於」「于」と同様に対象を示す前置詞として用いられることも。
(サイ) 文末の助字。詠嘆を表す。「」「かな」と読むこともある。反語にも用いられる。
(ジ) 接続詞。通常は上文を受けて下文起こすのが基本的な役割。従って上下必ず二つの事柄の間に置いて接続する働きのある語。この字の前を「〜して」と読み、この字自体は読まない。文頭にある時にも、上文の意を受けて下文を起こす気持ちがある。また、文頭にある場合は「しこうして」「すなはち」と読むことや、逆接で「しかれども」と読むこともあるので注意。
 (例)「学而習之」→「学問をして時に応じて之を習ふ(復習する)」

(ゼン) 上の「而」とほぼ同様であるが、「而」は軽く、そして広く使われるが、「然」は、よりも重く指示性が強い場合に用いられる。順接では「しからば」「しかるに」と読み、逆接で「しかれども」と読む。

(ハ) 」「こと」「もの」と読む。しかし、多くの場合、この字自体は読まない。日本語のように「者」自体が人を意味するものではなく、広く事物一般を指し、行為・状態・叙述の主体を指示したり示唆したりする場合に用いられる。時には場所や時間、条件などを示唆する場合もある。
 (例)「今者」→「いまは」、「近者」→「ちかごろ」
(ヤ) 反語などを表す文末の助字。
(ヤ) 上に同じ。

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